NEWS&EVENTS(2021年度)

 
≪セミナーの案内≫ 毎年、米国で開催されるACRPの年次総会(Annual Conference)では、臨床試験の専門家が一堂に会し、Clinical Trialに関するホットトピックスの最新情報が発信され、参加者同士がディスカッションできる交流の場が提供されています。COVID-19感染症の影響をうけ、残念ながら今年も、Virtual開催となりましたが、現地開催に引けを取らない内容となっています。2021 Annual conferenceはテーマごとに3期に分けて開催されており、1回目は2021年1月、2回目は5月に終了しています。
今回のセミナーでは、発表されたトピックスから教育委員がお勧めする2つを紹介し、参加者の方々が意見交換できる時間も設けています。奮ってご参加いただき、業務に生かせるヒントを得ていただければと思います。
 
≪講師≫
日本ACRP教育研修委員会およびAnnual Conference参加者
 
≪形式≫
講義(参加者の意見交換を含みます)
 
≪アジェンダ(予定)≫
・オープニング(Annual Conferenceの紹介) 10分
・テーマ①:QMSについて 20分
・意見交換 15分
・テーマ②:Annual Conferenceに参加して 20分
・意見交換 15分
・クロージング 5分
 
日時:2021年7月30日(金) 18:30~20:00(18:15 Open)
 
場所: オンライン開催
 
受講対象者
企業/アカデミアで臨床開発業務に従事しておられる方で、ACRPのAnnual Conferenceに興味のある方
 
費用*:
・オンライン参加:会員(2000円)、非会員(3000円)
*お申込者都合によるご入金後のキャンセルにつきましては、ご返金をお受けしておりません。あらかじめご了承ください。
 
申し込み:こちら
 
配布資料:事前配布なし
 
お問い合わせ先
日本ACRP事務局(acrp@acrpjapan.org)までお願いいたします。

以下のイベントは終了しました。

 
ACRP認定試験の受験を検討されている方に向けた、受験準備セミナーを今年も開催致します。
セミナーの概要や開催日時等の詳細は、こちらのリンクからご参照下さい。
 
本セミナーでは、ACRP公認トレーナーを含む講師陣により、本番環境をイメージできるよう、模擬問題を主体とした演習と解説を行います。また、申し込み手順の説明や直近の受験者を交えたQ&A等により、ACRP認定取得を目指す皆様のご要望にお応えしたいと考えています。
 
ACRP認定試験の受験を検討されている方に限らず、試験にご興味がある方も是非お申し込み下さい。

 
≪本セミナーについて≫
GCPリノベーションに向け、皆様の組織の準備はいかがでしょうか。「しっかり取り組んでいるので大丈夫!」「取り組んではいるけど、何となく不安…」「良くわからなくて何もしていない」いろいろな声が聞こえてきます。
そこで、GCPリノベーションに向け、自組織が取り組むべき課題について具体的な課題や方向性を見出していただくことを目的に第2回のセミナーを企画しました。他組織の取り組み事例を小グループで共有する時間や、自組織で取り組むべき課題について検討する時間などグループディスカッションの時間を多くとっています。
 
また、初めての取り組みとなりますが、自組織の具体的な課題などを検討する上でグループ参加が有効に働くのではないか、また、組織へ戻った後、具体的な提案なども容易になると考え、チームグループ※でご参加いただくこととしました。皆さまのご参加を心よりお待ちしています。
 
※グループは、所属している同じ組織の仲間でも、別々の組織の仲間や外部活動での仲間でも特に規定はありません。
※個人(お1人)での参加も可能ですが、参加費用は同額となりますのでご了承ください。
※グループ人数はディスカッションの観点から3名(最大5名まで)を推奨します。


≪講師≫ 佐藤 隆 氏 (PMオーケストラ サトウタカシ)
≪形式≫ 講義およびグループワーク(GW)
≪アジェンダ(予定)≫
・講義①GCPリノベーションに向け、自組織で何をする?:ACRP教育委員会(20分)
・講義②コミュニケーション by デザイン:佐藤先生(20分)
・GW①(他組織メンバーとGW):他組織の取り組み事例の紹介&共有(30分)
・GW②(自組織メンバーとGW):GW①の共有、「自組織に大切なこと」について検討し、明確な方向性や具体策をデザインする(30分)
・情報共有(10分)
※ファシリテーター:今野 浩一氏 PMコンサルティング ポジティブ・インテンション
 
日時:2021年4月16日(金) 18:30~20:30(18:15 Open)
場所: オンライン開催(Zoom)
受講対象者
企業/アカデミアで臨床開発業務に従事しておられる方で、GCPリノベーションに向け、自組織が取り組むべき課題について具体的な課題や方向性を見出し、GCPリノベーションに向けて実際に取り組みたいと考えている方
 
費用*:
・申込者が1人でも会員の場合:1グループ(3名推奨、5名まで):5,000円
・申込者が全員非会員の場合:1グループ(3名推奨、5名まで):7,000円
 
*個人(お1人)での参加も可能ですが、参加費用は同額となりますのでご了承ください。
*お申込者都合によるご入金後のキャンセルにつきましては、ご返金をお受けしておりません。あらかじめご了承ください。
 
配布資料:事前配布なし
 
申込はこちらからお願いいたします。
(グループでの参加お申込をいただく場合、参加者全員のお名前の入力も申込時に必要となりますのでご了承ください。)
 
お問い合わせ先
日本ACRP事務局(acrp@acrpjapan.org)までお願いいたします。

ACRP-J便り

 
【はじめに】
日本ACRP国際委員会です。今回のACRP-J便りでは、先日お届けしたVirtual ACRP2021 1st Termのご紹介に引き続き、2021年5月13, 20, 27日に開催された2nd Term “Operation Efficiencies”について、各演題のSummaryおよび日本ACRP国際委員会が注目したポイントをご紹介します。ご自身に関連のある演題やご興味のある演題を本記事から探っていただければ幸いです。
 
なお、本稿の最後部にACRPへの入会及びACRP2021への参加説明(Webリンク)を記載しております。今後開催予定の3rd Termへの参加登録が現在受付中です。また、Full Program参加により、開催済の1st/2nd TermもOn demandにて聴講可能ですので、是非ご検討ください。
 
 
2nd Term “Operational Efficiencies” の総括】
2021年5月13, 20, 27日に3日間に渡って開催された 2nd Termでは、エキスポセッションを含め15の演題が実施されました。施設、Sponsor、CRO、サービスプロバイダーが近年のテクノロジーの発展をどのように臨床試験オペレーションに応用し、また今後の臨床試験の環境がどのように変化していくかということがホットなトピックのトレンドでした。このトレンドのセッションでは、COVID-19パンデミックが臨床試験オペレーションにもたらしたインパクトについても多くの議論がなされていました。もうひとつのトレンドとして、ますます複雑化する臨床試験のオペレーションをどのように効率的に作り上げていくかという議論がありました。前述のテクノロジーの応用も含め、ピープルマネジメント、プロセスマネジメント、戦略的なアプローチといったハイレベルな観点からの議論も見応えがあると思います。臨床試験に携わる者にとってオペレーションは、ある意味永遠の課題であるかもしれませんので、多くの方が興味深く、また楽しんで各セッションに参加できると思います。
 
 
Day 1セッションの紹介】
Keynote: Say What?! Communicating More Effectively Across a Diverse Workforce
Cara Silletto, MBA, CSP, President & Chief Retention Officer, Crescendo Strategies
Summary & Recommended point
2nd Termのはじめのキーセッションでは、「現代の複雑化した社会において様々なバックグラウンドを持った多様なチームが効果的に働くことは、臨床試験に限らず様々な分野でますます重要になってきている」ということに関する議論からスタートしました。本セッションでは、チームで仕事をする際のコミュニケーションの重要性が述べられ、コミュニケーションを有効にする方法が紹介されました。
紹介されたコミュニケーションにおける重要なポイントは、これまでにも様々な場面で強調されていますが、本セッションを通じて改めて自身の仕事の実際の場面に落とし込んで捉え直すことができると思います。
実は本セッションは外部組織から提供されているため、ACRP2021の中でも唯一On demandの視聴期限が設定されており、本稿掲載時にはアーカイブを視聴することができなくなっています。ですが、演者のLinkedInページ(https://www.linkedin.com/in/carasilletto)から多くのリソースにアクセスが可能ですので、ご興味のある方は是非上記ページを参照してみてください。
 
Working Together for Study Success: Sponsors, Sites, & Technology Companies
Elisa Cascade, MBA, Executive Vice President, eCOA, ERT
Christine Senn, PhD, CCRC, CPI, ACRP-CP, FACRP, CSM, Chief Operations Officer, IACT Health
Mohammed Ali, Global Head Digital Development GCO, Boehringer Ingelheim
Summary & Recommended point
臨床試験における情報テクノロジー技術の応用は近年徐々に浸透し始め、COVID-19パンデミックを受けて急速に進みました。本セッションでは今後の臨床試験における情報テクノロジーの応用がどのような形で進み、どのような恩恵や障害があるか、Sponsor、施設、テクノロジーサービスプロバイダーの三者の観点からディスカッションがされました。
情報テクノロジーを臨床試験に応用するに当たり、どのような点がペインポイントであるか、三者のディスカッションと参加者の投票を通じた実際の場に即した現実的な視点が興味深いと思います。日本の臨床試験の現場において、情報テクノロジーの導入に取り組んでいる様々な立場の方に参考になると思います。
 
Protocol Feasibility to Improve Site Operations and Achieve Study Goals
Wendy Tate, PhD, GStat, Director, Research Operations, Advarra
Summary & Recommended point
本セッションでは、20-50%の臨床試験が参加施設からの症例登録がなされないまま終わり、90%の臨床試験で登録期間が延長されていると見積もられていることが課題として挙げられています。このような状況はコストの高いリソースを無駄に消費しており、最終的には科学的、倫理的にも問題があると考えられます。本セッションでは、現在のこのような状況に対して、オペレーションの観点からプロトコールのフィージビリティを参加施設ごとにどのように評価すべきかディスカッションがされました。
演者はオペレーションの観点から見たプロトコールのフィージビリティを次の7点から評価すべきであるが、実際に全てを評価している施設は30%程度に留まると述べています。①適切な被験者プール、②財務、③スタッフのリソース、④競合試験、⑤施設ファシリティ、⑥過去の同様の試験の実績、⑦過去の立ち上げタイムライン。施設フィージビリティに関わる立場の方は、施設体制のフィージビリティ評価再考の参考になるのではないでしょうか。
 
Remote Monitoring Strategies
Nicole Tierney, CCRA, BA, Principal Clinical Research Associate, NAMSA
Sue Sullivan, RN, CCRA, Manager, Clinical Research Services, NAMSA
Summary & Recommended point
COVID-19パンデミックによって急拡大したバーチャル空間でのコミュニケーションは、臨床試験におけるモニタリング、臨床データ、施設とCRO/Sponsorの関係にも大きな影響を与えました。本セッションでは、パンデミックから約1年が経過して、モニタリングが実際にどのようにリモート化したかについて、CRAの観点からディスカッションが行われました。
リモートモニタリングにおけるいくつかのポイントについて述べられていますが、演題後半でリモート環境におけるICFの確認方法について詳しく述べられています。ICFのリモート確認におけるCFR21 Part11やHIPPAの求める要件などについて詳しく学びたい方におすすめです。
 
 
Day 2セッションの紹介】
Keynote: The Evolving State of Clinical Trial Execution: Pilot or Permanent?
Ken Getz, MBA, Director of Sponsored Programs, Associate Professor, CSDD, Tufts University
Summary & Recommended point
Day 2のキーセッションとして、Tufts大学CSDD (Center for the Study of Drug Development)のAssociate ProfessorであるKen Getz教授がゲストスピーカーとして講演しました。Getz教授はACRP総会で過去にも多くのセッションを行っており、プロフィールページからそれらを参照することができるため、興味がある方はそちらも是非ご覧ください。
本セッションでは臨床試験における現在までの変遷、COVID-19パンデミックの前後での急激な変化、そして今後Post-pandemicの世界で高い確率でスタンダードになっていくと考えられるプラクティス、また、今後は縮小されていくと考えられるプラクティスについて、俯瞰的な視点で将来のランドスケープが語られました。
セッションではまず、2000年代から現在に至るまでに臨床試験が急速に複雑化していることが様々なデータを用いて示されました。その後、COVID-19パンデミックが臨床試験にもたらした急激な変化と、その変化を可能にした要因が議論されました。最後に、Post-pandemicの世界で臨床試験がどのように変化するかについて、Sponsorや施設への詳細なインタビュー、さまざまな調査結果をもとに考察が示されました。臨床試験に関わる全ての立場の方にとって、Post-pandemicの世界の臨床試験を見渡すことの一つの材料となる大変興味深いセッションです。
 
The Future is Now: Discussions on Decentralized Clinical Trials, Diversity, and Inclusion
Rosamund Round, Vice President, Patient Innovation Center, Parexel
Agnieszka Gackowska, MD, Senior Director, Global Site Solutions, Parexel
Mohammad A. Millwala, MBA, CPA, CCRP, CEO, DM Clinical Research
Trishna Bharadia, Health Advocate and Patient Engagement Champion
Summary & Recommended point
2020年に非常に多くの施設、臨床試験で何らかの形で急速にDCT(Decentralized Clinical Trial)が導入されました。例えば、訪問診療、患者への治験薬の直接配送、リモート診療、センサーやデバイスなど、DCTへのシフトにより患者が施設に訪れることなく臨床試験に参加することが容易になります。DCTの導入により患者の試験へのアクセスが容易になり、施設、患者双方がメリットを享受できるようになります。本セッションでは、DCTが患者中心の試験を実現するために果たす役割について、施設およびCROに所属する4名のパネリストがディスカッションしました。臨床試験におけるPatient Journey、Patient Centricityを考えるうえで、今後の臨床試験がどのような形になるか新たな角度から想像することにつなげられるセッションです。
 
Data Quality Made Easy: A Guide for CRAs and Study Coordinators
Steve Pope, MSHS, CCRP, Senior CRA, PRA Health Sciences
Summary & Recommended point
臨床試験のデジタル化が進み、試験運営のオペレーションの姿がこれまでのものとは大きく変わってくることが見込まれます。そのような状況において、これまで以上にデータクオリティの重要性が高まり、CRC、CRA、Data Managerの役割が臨床試験オペレーションの鍵となってきます。本セッションではCRAである演者から、高いデータクオリティを実現するための各roleにおけるtips、データマネジメントにおける適切なクエリ対応の例が紹介されました。臨床試験のデータマネジメントにおいて、すでに高い経験をお持ちの方、これから経験を積んでいこうという方、どのような方にとっても改めて施設におけるデータハンドリングの基礎を振り返るための良い機会になるセッションです。
 
Rethinking Clinical Trials for the Future
James Reilly, MBA, Vice President, Veeva
Summary & Recommended point
Day2の最後の演題として、ヘルスケ業界にサービスを提供するテクノロジー企業のVice Presidentである演者から、よりデジタル化されていく臨床試験について、現在の課題とその解決方法の方向について議論されました。演者によると、現在の臨床試験は極めて複雑でありながら非常に非効率な方法で実施されており、またその問題を解決するために提供されるデジタルテクノロジーはSponsor間、試験間で様々であり汎用性が低く、実効性が低いと指摘されています。演者が提案する臨床試験における将来のテクノロジーサービスは、より施設中心、患者中心であるべきだと述べられています。臨床試験におけるテクノロジーサービスのプロバイダー、そしてユーザーの方におすすめのセッションです。
 
 
Day 3セッションの紹介】
Keynote: The Future of Decentralized Clinical Trial Development
Patrick Floody, Senior Director, Global Study Strategy & Optimization, Regeneron
Summary & Recommended point
Day 3のKeynote演題として、演者からCOVID-19パンデミックの中でRegeneron社がどのように臨床試験を迅速に環境に適応させたかについて紹介され、適応されたイノベーションが今後の臨床試験をどのように変えていくかの予想が議論されました。
演者が取り上げたパンデミック下の臨床試験に課されたチャレンジとして、迅速な試験立ち上げタイムラインの要求、被験者リクルートメントとリテンション、被験者のPatient Journey、そして施設のオペレーションの簡素化があります。これらに対するソリューションとして、プロセスの簡素化やデータドリブンのアプローチ、行政、検査施設や様々な媒体を通じたリクルートメント戦略などについて実施した具体的な方策が紹介されています。また、新たなソリューションを通じて生み出されたイノベーションとして、Mobile Test Center、BYOD (Bring Your Own Device)を活用したeCOA、遠隔診療とe-Consent、デジタルアセスメント(デバイスを用いた遠隔測定)が紹介され、これらのイノベーションが将来の臨床試験にどのように活用されていくかの予測が紹介されました。
臨床試験をデザインする方のみでなく、様々なソリューションのプロバイダー、実際のユーザーである施設スタッフなど、臨床試験に関わる様々な方にとって将来の臨床試験のグランドデザインを俯瞰できるセッションです。
 
Trends as a Means to an End: A Case Study in Process Improvement
Lisa Haney, BS, CCRC, Senior Clinical Quality Specialist, Medtronic
Summary & Recommended point
本セッションでは臨床試験のクオリティマネジメントの観点からプロセス改善への取り組みについて、ケーススタディを通じて紹介されました。ケーススタディでは演者が実際に行っている監査指摘事項を分析する手法の詳細が示され、特にQualitativeな指摘のトレンドをどのように定量化し、試験を超えてシステミックに分析する具体的な方法が紹介されています。演者が紹介した方法は一見すると基本的な分析方法にも見えますが、こういった分析を広く、長く続けることで経時的なトレンドやリスクの特定につなげることができより高いレベルでのプロセス改善につなげられることが議論されました。組織レベルのプロセス改善に携わる方におすすめのセッションです。
 
CRRC: Clinical Research Revenue Cycle Management: Avoiding the Pitfalls
Mary Veazie, MBA, CPA, CHC, CHRC, Executive Director, Clinical Research Finance, The University of Texas MD Anderson Cancer Center
Erika Stevens, MA, Principal, FTI Consulting
Summary & Recommended point
本セッションでは2名の演者からCRRC (Clinical Research Revenue Cycle) マネジメントについて、施設サイドから見たリスク、リスクマネジメント、そしてベストプラクティスについて紹介されました。CRRCというと聞き慣れない方も少なくないかもしれませんが、臨床試験におけるキャッシュフロー(お金の出入り)と考えるとイメージがわきやすいかもしれません。本セッションの内容はUSの規制をベースに議論されていますが、健全な財務状態を保ちつつ臨床試験を運営することの重要性は日本の施設でも変わりはありません。セッションの前半では、財務上のリスクの定義とリスクの特定方法の枠組みが示されました。後半ではそれらのリスクにどのように備えるかについて、規制の理解、キャッシュフローサイクルの適正化、それを実現するシステム上のコントロールやオペレーションの手法、財務状態のモニタリングの観点から議論が展開されました。最後にこれらの議論を踏まえて、演者の施設における財務適正化のベストプラクティスについていくつかのポイントが紹介されました。USと日本では施設の財務状況の前提が異なる点もあるとは思いますが、得られる知見は日本の施設においても参考になる部分があるのではないでしょうか。
 
Truly Integrating Research Administration – Best Practices
James Riddle, MCSE, CIP, CPIA, CRQM, Vice President, Institutional Services, Advarra
Summary & Recommended point
ACRP2021の2nd Term – Operational Efficienciesの締め括りとしてとして、本セッションでは主に施設における臨床試験のトータルプロセスマネジメントについて議論がなされました。演者の発表でははじめに、施設組織が臨床試験全体のプロセスを構築するにあたって陥りがちな失敗が示されました。臨床試験には多くのファンクションが関わりますが、それらが効率的なストリームラインで構成されず、繰り返しや行き止まりなどが生じ全体の効率を下げる傾向があります。これを改善するための戦略的なアプローチとして、全体を見回してプロセス構築を始めること、リーダーシップからのサポートを得ること、明確な数値目標を立てること、現在のプロセスの姿と望ましい姿をマッピングすること、集中的なワークショップを開催すること、賢く外部パートナーと協働すること、そしてQA部門のサポートを得ることがTipsとして紹介されました。さらに、この問題についてテクノロジーが果たす役割を演者は示していますが、テクノロジーはあくまでツールであり、根本的な問題解決には人間による戦略的なプロセス改善が必須であると議論されました。臨床試験の施設組織を構築、見直すうえで非常に有用なセッションとなるのではないでしょうか。
 
 
【おわりに】
今回はエキスポセッションを除いた2nd Termの演題を長々とご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。2nd Termの概要を感じていただき、興味を持っていただけようでしたらとても嬉しいです。
 
Virtual ACRP 2021の最後のTermとなる 3rd Term “Regulatory Trends & Compliance”は米国時間9月16, 23, 30日に開催が予定されています。これまでの2つのTermとはまた違った角度のテーマが設定されており、次回のTermもとても興味深いセッションが多く予定されています。これまでのセッションを復習するとともに、是非次回のTermにご参加いただければ幸いです。
 
なお、本部の会員・非会員を問わず、ACRP2020およびACRP2021の事後登録でオンデマンド配信の視聴が可能であり、実際の発表レコーディングが視聴出来ますので、事後登録でもオンタイムと変わらない情報が収集可能です。(リンク先:https://2021.acrpnet.org/
Conferenceの他にも、ACRPでは多様なテーマを扱ったWebinar、Trainingをご用意していますので、ぜひご覧ください。(リンク先:https://acrpnet.org/training/  )
 
ACRPのメンバーになることで多くのツールの利用も可能になりますので、ACRP本部のメンバー登録や日本ACRPへのご参加もご検討いただけますと幸いです。一緒に活動していきましょう!
ACRP本部:https://acrpnet.org/membership/
日本ACRP:https://www.acrpjapan.org/index.html/membership.html
 
参加登録が不安な方には、私たち日本ACRP国際委員会がサポート致しますので、ご連絡ください。Come on Join Us!
acrp_global@acrpjapan.org

 
Author: 鳥口 尚子 Contact: acrp_grobal@acrpjapan.org
 
日本ACRP国際委員会です。2021年のACRP総会は、Virtual ACRP2021として、3回に分割された形でオンライン配信されることになりました。2021年1月12日から14日までの3日間、“Innovation in the Era of COVID” とのテーマで1st Termが実施されましたので、各演題のSummaryおよび日本ACRP国際委員会が注目したポイントをご紹介させていただきます。ご自身に関連のある演題、気になるトピックを探ってください!

本稿の最後部に、ACRPへの入会及びACRP2021への参加説明(Webリンク)を記載しております。今後開催予定の2nd, 3rd Termへの参加登録が現在受付中です。また、Full Program参加により、今回の1st TermもOn demandにて聴講可能ですので、是非ご検討ください。


 
Innovation in the Era of COVID
January 12, 13, 14
 
COVID-19のパンデミックは、世界中の治験・臨床試験に大きな影響を与えてきました。ACRP 2021 1st Termでは、医療機関、Sponsor、CRO、そしてFDAから、それぞれの生の声を聴き、実情や背景について知ることができます。
これまで体験してきた様々な変化、それに伴って得た学びやベストプラクティスを共有し、今後生じうる新たな課題やその対策について、一緒に考えてみませんか。自身の状況や環境を見返し、考え直すことのできる良い機会です。
 
Session Spotlight — Managing Teams through a Pandemic: Lessons Learned and Lasting Impacts
 

  1. Are You Ready for 2021: Best Practices for Telemedicine, Modernized Sites, and GDPR
  2. Expanding Clinical Research in the Midst of a Pandemic: Lessons Learned and Key Takeaways
  3. Sponsor Oversight of Decentralized Clinical Trials
  4. Managing Teams through a Pandemic: Lessons Learned and Lasting Impacts
  5. Financial Flexibility with Evolving Times - Budget Considerations for 2021
  6. COVID Trials Rapid Study Startup in Under Two Weeks: How Did We Do It?
  7. techXpo Session - The Impact of Brexit and COVID-19 on Clinical Research Data Processing in the EU/UK                        
  8. techXpo Session: eSource: Why This is the Platform of the Future
  9. techXpo Session: COVID Catch 22 – Don’t Get Burned Out by Dependency on Technology
 

Are You Ready for 2021: Best Practices for Telemedicine, Modernized Sites, and GDPR Al Pacino, President & CEO, BlueCloud by HealthCarePoint 
 
Summary
COVID-19により、「ハイブリッド型の臨床試験」の普及が加速されています。生じうる課題の提示とその対策について、米国の実情とともに紹介され、ディスカッションがなされました。
Topic          - 患者への影響(ex, 意思決定)
              - AI、デジタルツールやモバイルアプリの活用
              - USの実情および各種ツールの紹介

Recommended Point
現在、多くの試験がGlobalにて行われており、『個人情報』については日本国内のみでなく海外の法規則も含めて理解する必要があります。本セッションが、個人情報・個人データの適切な取扱いについて見直す機会となれば幸いです。講演にて既存のツールやアプリなども紹介されますので、ご活用いただければと思います。
 

 
Expanding Clinical Research in the Midst of a Pandemic: Lessons Learned and Key Takeaways Amanda Cameron, MPH, CPH, CCRP, Trial Innovation Network Program Manager, Medical University of South Carolina
Signe Denmark, MS, CCRP, Associate Director Research Opportunities & Collaborations, Medical University of South Carolina
Amy Gandy, SCTR, Laboratories Manager, Medical University of South Carolina

Summary COVID-19の拡大に伴い、様々な状況や物事が変化し、それらへ順応・対応することが必須となってきました。米国の医療機関;Medical University of South Carolinaにおいて、COVID-19による様々な状況・変化に対し、実際に行われた取り組みについて、具体的な報告がなされています。また、COVID-19に関するResearchについてもあわせて紹介されています。

Recommended Points
医療機関スタッフの実体験や、各々が感じ悩んだ課題や問題点、具体的な1つ1つの取り組みに加え、新たに生じる障壁などなど、リアルな話を聴くことができます。医療機関スタッフたちの助言や感想などもまじえて、共に学ぶことのできるセッションです。


E Sponsor Oversight of Decentralized Clinical Trials Eric Pittman, Director, Bioresearch Monitoring Division (West), FDA 
  Summary
COVID-19により「Decentralized Clinical Trials (DCT)」の普及が加速されています。DCTに関する規制および利点と課題について、FDAから報告されました。米国のガイダンスとともに、DCTを実施していくうえで、注意が必要な事項・ポイントなどについても紹介されています。

Recommended Pints
FDAの考えや方針、懸念事項等について生の声を聴けるとても貴重な機会です。DCTにおける被験者保護とデータの信頼性、質の担保を考えるよい機会です。
「実現可能な“一歩”」を踏み出すための参考になれば幸いです。 

 
Managing Teams through a Pandemic: Lessons Learned and Lasting Impacts Medical Center Jennifer Sheller, BS, MPH, North America Regional Head, Global Clinical Trial Operations, Merck Jim Kremidas, Executive Director, ACRP
Asha Collins, Head of US, Country Clinical Operations, Genentech

Summary いろいろな業種・職場において、COVID-19の影響によって、スタッフ・チームの再編成、新しいSOPの作成、テクノロジーやリモートワークの普及など、様々な“New Normal”が築かれてきました。本セッションでは、施設、スポンサー、CROそれぞれの代表者が、"人材・労働力”をテーマに議論を交わします。
Discussion Points:
-  Communication(Patient, Site, CRO, Sponsor, Regulatory)
-  Visit(Patient Visit, Monitoring/Audit Visit)、
-  IP (telemedicine, Shipping)
-  Privacy (Source documents, EMR)
-  Quality (Tracking, Recording)
 
Reccomemded Pints
様々な取り組みについて、その過程や移行のプロセス、課題等について、異なる三者から、それぞれの意見や実体験を聴ける貴重なディスカッションセッションです。公私にわたって生活が変化する中、働きやすい職場・よりパワフルなチームを構築する一助になれば幸いです。

 
Financial Flexibility with Evolving Times - Budget Considerations for 2021 Deena Bernstein, BA, MHS, Consultant
Kelly Willenberg, DBA, RN, CCRP, CHC, CHRC, Manager, Kelly Willenberg & Associates

Summary COVID-19が治験業界に及ぼした経済的な影響について、今後を見据えたポイントを含め、学べるセッションです。
- パンデミックに伴う業界の変化と課題
- Siteの契約交渉・予算確保における課題と対策
- COVID-19後を見据えた評価
 
Recommended Points
Sponsorや保険会社との契約交渉など、医療機関における予算確保が重要となる諸外国の状況、COVID-19に伴う変化と問題について知ることができ、日本とは少し背景の異なる諸外国の実情を学ぶことができるセッションです。


COVID Trials Rapid Study Startup in Under Two Weeks: How Did We Do It? Jeri Burr, MS, RN-BC, CCRC, FACRP, Executive Director, Utah Trial Innovation Center, University of Utah
Nina Pacchia, PhD, CCRC, Program Director, University of Utah
Sam Sorenson, BS, CCRC, Project Manager III, University of Utah

Summary
COVID-19のパンデミックに対し、University of Utah にて取り組まれてきた様々な対応とその経緯について、紹介されました
  • 緊急IRB、eConsent、DSMB審査を迅速に実施するためのリソース
  • Risk Assessment
  • 他職種による連携とデータベース構築

Recommended Points
関連部署、他職種間のネットワーキング、コラボレーションの意義とその重要性についてあらためて認識することができます。皆さんの様々な経験とスキル、既存のツールをさらに活用する「Next Step」を考える一助となれば幸いです。

techXpo Session: The Impact of Brexit and COVID-19 on Clinical Research Data Processing in the EU/UK Lenitha Bishop, Head of DPOs, The DPO Centre Ltd.
Summary

EUと英国における個人データの取扱いに関する現状と課題について、報告がなされました。
 
Recommended Points
医療業界のみでなく、様々な領域・分野において影響を及ぼしているEUと英国の社会的背景を含めて、彼らの実情を知ることができるセッションです。

 
techXpo Session: eSource: Why This is the Platform of the Future Raymond Nomizu, JD, Co-founder and CEO, Clinical Research IO Jessica Branning, CEO of ClinCloud Clinical Research, Clinical Research IO
 
Summary
  • De-centralized trialsおよびVirtual monitoring の導入
  • サイトネットワークの統合 
  • Researchと臨床の連結
  • テクノロジーの統一(EDC, eSource…etc)

Recommended Points
治験業界において、「テクノロジー」が果たす役割について考えさせられるセッションです。皆様の日常業務において、これらの技術やツールの導入・活用が有用となれば幸いです。



techXpo Session: COVID Catch 22 – Don’t Get Burned Out by Dependency on Technology Kenny Kong, Director – Life Sciences & Health IT, Exostar
Summary

BUSINESS - Learn about options to help deal with technology issues causing stress while working virtually.
  • PERSONAL - Importance of establishing work/life balance. How to set and manage expectations.
  • THE FIX - The need to aggregate technology and simplify site user access.

Recommended Points
様々なIT技術が急速に進化している現在、身の回りのテクノロジーへのアクセスを合理化し、より効率よく活用するための、“アイデア”を知ることのできるセッションです。 
 
今回のACRP2021 1st Termに続き、次号では5月13, 20, 27日に開催予定の2nd Term “Operational Efficiencies”についてご紹介したいと思います。
 
本部の会員・非会員を問わず、ACRP2020およびACRP2021の事後登録でオンデマンド配信の視聴が可能であり、実際の発表レコーディングが視聴出来ますので、事後登録でもオンタイムと変わらない情報が収集可能です。リンクはこちら
Conferenceの他にも、ACRPでは多様なテーマを扱ったWebinar、Trainingをご用意していますので、ぜひご覧ください。リンクはこちら

ACRPのメンバーになることで多くのツールの利用も可能になりますので、ACRP本部のメンバー登録や日本ACRPへのご参加もご検討いただけますと幸いです。一緒に活動していきましょう!
ACRP本部:https://acrpnet.org/membership/
日本ACRP:https://www.acrpjapan.org/index.html/membership.html

 
参加登録が不安な方には、私たち日本ACRP国際委員会がサポート致しますので、ご連絡ください。Come on Join Us!
acrp_global@acrpjapan.org

 

 
Author: 湯川 絢子、近藤 奈津子
Contact: acrp_grobal@acrpjapan.org

日本ACRP国際委員会です。

今回は前回紹介したPart1- Technology & Future Trends Trackに引き続き、Virtual ACRP 2020, Part II Sep 3, 2020 ‐ Nov 5, 2020を紹介いたします。 
Part IIでは、COVID-19パンデミックというこれまでにない環境下において、臨床試験が新たなテクノロジーをどう適用し 、いかに“Innovative”に運営されたかを中心に、今後の試験をデザインする上で大きな“Insight“を得られる4テーマの発表がありました。リンクはこちら

  1. Square Peg in a Round Hole: Remote Trial Innovation During a Pandemic
  2. Welcoming Technology into the World of Clinical Trials
  3. Hang Ten: How to Surf the Wave of New Technology without Wiping Out
  4. A Plain English Description of Technology and How it May Contribute to Research

このうち、COVID-19感染症治療薬治験の実際を紹介した「1.Square Peg in a Round Hole~」をご紹介いたします。

Square Peg in a Round Hole: Remote Trial Innovation During a Pandemic/Jessica Thurmond, ACRP-CP, Clinical Trials Manager, Clinipace

2020年1月にCOVID-19が初めて診断された後、2020年3月27日にはFDAがいち早くCOVID-19パンデミックにおける臨床試験運営のガイドラインを発表しました。リンクはこちら
 
ガイドラインの目的は以下の4つです。
・被験者の安全性を確保すること
・安全性評価のために代替の方法を許容すること(電話ビジット,バーチャルビジットなど)
・治験薬の配送による処方を許容すること
・SDVが困難な状況においてはセントラルモニタリングやリモートモニタリングを許容すること

演者は、以前よりAIやデバイス、革新的なテクノロジーに関心があり、新たな手法の受容、順応が必要と感じながらも、パンデミックが起こるまでは100%SDVを行う旧来の方法しか経験がなかったといいます。
発表の前半は、試験をリモートで行う際のリスクやメリットに関する考察でした。(※は演者のコメントです)
【CROのリモート臨床試験運営におけるリスク】
・被験者組み入れの遅延や中断
・継続中のコンプライアンス不順守と障害
・施設で行っていたトレーニングや取り組みができないこと
・検査キットや資材の搬入遅延 
※ 臨床のCOVID-19の検査が優先されたため、結果が得られるまでの時間も大幅に遅れました。
・統計解析方法の変更によるデータの変更
※ 中等症を対象としていたこともあり、緊急回避のため逸脱がやはり大きく影響しました
・プロトコル改訂の発生
※ 1か月に4回も皆大好きな?計画書改訂がされたこともありました

【施設のリモート臨床試験運営におけるリスク】
・多すぎる評価項目
・限られた時間の中でのトレーニング実施
・限られた時間での被験者組み入れ
・足りないスタッフで実施しなければならない過負担
※ 離職者、担当交代も多くありました。
・被験者対応時間の不足
・手続き、承認の遅れ
・リモートで限られてしまうPI(責任医師)との連携
※ PIに会えないためすぐに回答を得られず、CRCはフラストレーションを抱えていました。

リスクの裏には、ベネフィットがあります。それこそイノベーション!であり、結果Patient Centricity(患者中心)が実現します。
・費用の削減
※ 短期的には導入コストがかかりますが、長期的には削減されていきます
・組み入れと継続期間の短縮
※ DCT(Decentralized Trial)がこれを可能にします
・データ収集力の向上と安全性管理の改善
※ リモートモニタリングの活用により特に安全性モニタリングが充実します
・試験運営の負担軽減
※ 短期的には適応、順応のための導入やトレーニングの負荷はかかりますが、長期的に見ればその負担が軽減することは間違いないでしょう。

後半は、自身が経験したCOVID-19感染症治療薬の治験におけるチャレンジが紹介されました。
この治験は、肺線維症を対象とした第2相試験で、入院下で120例を対象としたものでした。試験は5営業日で計画、最終化され、キックオフミーティングから最初の施設立ち上げまで14営業日、EDCは14暦日で設計されました。これには聴講者からも“Crazy!”といったコメントが寄せられていました。
また、この試験は、“Adaptive Design”と呼ばれる、実施しながら逐次データ解析を行い、計画を変えていくという手法を採用していました。
実施施設には、『臨床試験の経験が豊富で競合試験がなく、電子カルテ(EMR)へのアクセスが可能な大規模感染症専門病院』を基準として、米国内の10施設を選定する予定でした。しかし、実際には”信じられないほどの困難さ”で進まず、あらゆるコネクションとネットワークを総動員して200施設を調査した結果、米国内で25施設、南米で9施設が選ばれました。COVID-19の感染拡大地域の変化、競合試験の影響といった試験を取り巻く環境が刻々と変化していたため、選定された施設の経験、規模および専門領域も当初の想定と大きく異なる結果となったのです。
この試験のモニタリングプラン(CMP)作成においては、「COVID-19タスクフォース」を立ち上げ、リモートモニタリングを実装しました。ICH GCP E6(R2)に準拠するため Site Quality Visit Formを用いて、モニタリング実施毎にアセスメントを行いながら報告書とともに繰り返されるリスクを評価、特定し、次回のモニタリング実施時期を決定します。SDVは25%(主要・副次評価項目、有害事象および併用薬)に絞られました。その理由は、重篤度が中等症の被験者が入院して、ほぼ同日に治験に登録され、同意取得とベースラインスクリーニング、適格性判定がほぼ同時に行われるためです。SDVの対象項目は減らしながらも、セントラルモニタリングでデータクリーニング、データマネジメント(DM)、クリニカルモニタリング、解析(Biostats)、安全性監視を常時連携させ、また毎週、逸脱記録や安全性情報のTrial Master File (TMF)への格納を行う手順としていました。それでも70~75%の医療機関でEMRへのアクセスができなかったり、各医療機関のIRBでeConsentやシェアファイル(ファイル共有システム)のバリデーションの審査が必要になるなど、試験の運営は困難を極めたとのことです。
SDVを行う対象被験者は、各施設登録験者の20%、各割付群の20%といった基準で選択しました。ただしこれらは各施設で異なる登録進捗状況(登録の早い/遅い、多い/少ない)、またSDV対象であってもデータがタイムリーにかつ十分に収集されている必要、CRAが問題を感知した場合掘り下げて確認を行う必要などを考慮し、随時調整をしなければなりません。従って、どの程度のSDVを行うかは試験早期のうちに依頼者と合意しておく必要があります。試験開始時にはどのデータが安全性の面で重要になってくるかはわからず、この調整が結果的にAdaptive Designを採用する上では課題となってくるからです。
CRAもこの大きなチャレンジに意識を変えて臨み、データがタイムリーに収集されているか、施設では十分なリソースとサポートが確保されているか、PIは自施設の“Oversight”(監督・管理)できているかといったように、各評価項目を個々にチェックするのではなく、被験者のデータを包括的に確認するようにしていたとのことでした。

一方、施設側の取り組みとして、スタートアップミーティング(Site Initiation Visit)をテレカンファレンス と録画したトレーニングプラットフォームを併用し実施したことは効果的だったといいます。その理由は、とにかく激務のなかで試験に割ける時間が限られた院内スタッフにとって、必要な部分だけを録画から選択してトレーニングを受けられたためです。
また、この試験ではDMもBiostatsもとにかく時間!時間!時間!時計と競争していました。彼らの取り組みにより次々生ずる新たなプロトコールの解釈や運用の変更は、それを都度確認する施設にとって相当の負担、混乱のもととなっており、プロジェクトマネジャー、CRAらはFAQを毎週更新、配信し、周知を図っていくことでこれを解消、サポートしていったそうです。
このように、施設ごとに継続したリスクアセスメント→セントラルモニタリングの実施→イシューマネジメントの強化→プロセスに応じたモニタリングへの変更というサイクルを確実かつ円滑に回すことが必要であるとのことでした。
最後に演者はこの治験でのチャレンジを、「プロジェクトマネジメント」「リモートでの同意確認」「被験者募集」「ベンダーマネジメント」「治験薬管理」「データマネジメントと解析」「Trial Master File」「チームメンバーのケア」に分けてその特徴と課題、困難であったことを説明し、経験から得た対策の提案をしています。例えば「臨床検査基準値は試験の標準値ではなく各施設のNLRを絶対に使うべき」など。こうした急性期、感染症といった領域で、リモートで試験を行うには非常に具体的で説得力のあるアドバイスです。また、資料には“Are Your Protocol Assessments Truly Feasible in a Remote Setting?”という、対象試験のプロトコールがリモート化するに適しているか否かを判定するアルゴリズムチャートが紹介されていますので、参考にしてください。

このセッションは、非常に刺激的でタイムリーなケーススタディーでした。ACRPのVirtual Sessionが面白いのは、演者が発表している間にも質問やコメントがどんどんチャットに寄せられ、聴講者からのリアルな質問やコメントにどんどん回答しながらいくというライブ感満載のやり取りが展開されるところです。発表内容は配布資料で確認できますが、このレポートにはそうしたプレゼンターの熱のこもった経験や聴講者とのディスカッションの内容も多く含んでいます。このライブ感はVirtual Sessionならではの醍醐味です。皆さんも是非視聴いただき、最新トピックに対する理解を深めていただければと思います。
次号では、 いよいよ Virtual ACRP 2021Jan 12, 2021 - Sep 30, 2021 のプログラムの見どころをご紹介してまいります。2021でも以下の3パートを1年を通じて開催しています。
Innovation in the Era of COVID
(January 12, 13, 14 (Recording Available with Full Conference Registration)
Operational Efficiencies
(May 13, 20, 27 | 11:00am-4:45pm EST)
Regulatory Trends & Compliance
(September 16, 23, 30 | 11:00am-4:45pm EST)

また、本部の会員・非会員を問わず、Virtual ACRP2020およびVirtual ACRP2021の事後登録でオンデマンド配信の視聴が可能です。実際の発表レコーディングが視聴出来ますので、事後登録でもオンタイムと変わらない情報が収集可能です。リンクはこちら
 
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